動機付け

                著者:塚本直樹
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【動機付け・衛生理論(二要因理論)概要】
アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した理論で、職場における従業員の満足および不満足(モチベーションの高低)を引き起こす要因は別であると考え、満足感を醸成するものを「動機付け要因」不満足を引き起こすものを「衛生要因」と名づけました。

【動機付け要因】
 職場における従業員の満足は、「昇進」「達成」「承認」「責任」「仕事内容」などを満たすことで、醸成することができます。また、以上のことが欠けていても、従業員の不満足感を引き起こすわけではありません。よって無くても特に不満というわけではありませんが、一度経験してしまうと、従業員はさらに強い満足(自己実現の欲求)を得ようと考えます。

<人事施策>
・適正な目標設定と評価基準の運用
・職務充実(ジョブエンリッチメント)の機会を提供

 上記の4コマ漫画では、家庭内職能資格制度を導入して、掃除や料理ができるようになったら、家庭内での夫のランクがあがり(昇進)、妻からの徐々に尊敬の念を込めて呼ばれ方が変わる(承認)ことでモチベーションが上がり、家事に積極的に取り組む姿がうかがえます。

 企業経営に置き換えてみると、人事評価制度を導入するだけでなく、従業員に対して適切な目標を設定し、目標を達成した従業員に対して適切な評価(承認)をします。結果的に昇進などの形でフィードバックを与えることや、次のステップへの成長のために能力開発の機会を提供していくことも重要です。
また、年齢や役職に関係なく、責任のある仕事などを任せる機会を与える。例えば新規事業開発の機会や、重要なプロジェクトへの参画機会などの提供も考えられます。


上記の理論を活用した簡単な事例問題を下記にて紹介します。お時間あったら読んでみてください。

【中小企業診断士2次試験参考ミニテスト】

 A社は首都圏で10店舗展開しているスポーツウエアの販売業者である。従業員数は80名で人員構成は正社員30名、契約社員50名である。内訳は本社勤務が正社員10名で、それ以外の従業員は店舗での販売に従事し、店長として従事している正社員は7名である。
 A社は半期に1回、売上達成率、売上粗利益率、顧客満足カード取得率の高い店舗ならびに店長に対して「NO.1店舗賞」の表彰や、最も高い成果をあげた従業員に対しては、「NO.1販売員賞」表彰を行っている。また、立候補制で「店舗改善提案制度」を設け、月に1回、社長に直接提案できる機会がある。以上の各種制度は正社員、契約社員に関係なく対象にしている。

(第1問)
A社はモチベーションが高い従業員が多いが、その要因について述べよ。

(第2問)
A社の契約社員は正社員と比較して相対的に満足度が低い。その要因について述べよ。

  • 最終更新:2011-07-05 20:59:27

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